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2011年12月

2011年12月29日 (木)

暮れのご挨拶

今年は、3月に発生した地震を始めとし、デフレ・円高などの影響もあって、本当に多事多難な1年でした。

それでも、韓国語に関しては、ぽにょっ会の皆さんとキム・ジュンヒョクさんの『楽器たちの図書館』をほぼ2か月に1作品のペースで翻訳し、自分ひとりではできない楽しい情報交換の機会に恵まれ、その上、12月にはそれを締めくくるかのように、キム・ジュンヒョクさんとオ・ジョンヒさんをお招きしてのシンポジウムにまで参加することができ、充実した1年でした。

また、地元大学の先生が主催してくださっている読書会でも、一人一編の短編小説を翻訳したものが資料集の形で本になり、とてもいい勉強になりました。

自分の韓国語の実力という点からみたら、あんまり成長した感じがしないのは残念ですが、楽しむことができた、世界が少し広がったという点では満足していて、皆さんのおかげと感謝しています。

翻訳をなぜするのかといえば、韓国語で書かれたものに価値があって、それを求めている日本語話者がいる、あるいは、それを日本語話者に是非伝えたいと思うからですよね。

今、いつか翻訳してみたいと夢見てるエッセーがひとつ、絵本がひとつあるのですが、来年は、そんな本にまた出会える年になるといいなあ、と思います。

皆さん、それぞれに今年1年間お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
来年が平和で幸せな一年になりますように、心より願っております。

2011年12月23日 (金)

文章と音楽との関係

昨日、ある方から教えていただいたんですが、
最近新潮社から出版された村上春樹と小澤征爾の対談本『小澤征爾さんと、音楽について話をする』の中で、文章を書くことと音楽の関係について触れているんですね。興味深かったのでご紹介します。

以下は、引用(抜粋)です。

「村上 僕は文章を書く方法というか、書き方みたいなのは誰にも教わらなかったし、とくに勉強もしていません。で、何から書き方を学んだかというと、音楽から学んだんです。それで、いちばん何が大事かっていうと、リズムですよね。文章にリズムがないと、そんなもの誰も読まないんです。前に前にと読み手を送って行く内在的な律動感というか・・・・・・。機械のマニュアルブックって、読むのがわりに苦痛ですよね。あれがリズムのない文章のひとつの典型です。(中略)」

「村上 言葉の組み合わせ、センテンスの組み合わせ、パラグラフの組み合わせ、硬軟・軽重の組み合わせ、均衡と不均衡の組み合わせ、句読点の組み合わせ、トーンの組み合わせによってリズムが出てきます。ポリリズムと言っていいかもしれない。音楽と同じです。耳が良くないと、これができないんです。できる人にはできるし、できない人にはできません。わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。もちろん努力して、勉強してその資質を伸ばしていくことはできますけど。」

ほうsign01翻訳にもリズムが大切なんですね。今日、書店で本を探してみようと思いますhappy01

2011年12月14日 (水)

『韓国現代作家との対話in NIIGATA』レポート②~午後の部

午後の部はシンポジウムで、오정희さん、김중혁さんに、波田野先生、それから最近『楽器たちの図書館』を波田野先生と一緒に翻訳された吉原育子さんが加わり、様々に興味深いお話が発展しました。

ここにその全部はとても書ききれませんが、特に印象に残ったところを書き留めてみたいと思います。(メモはとっていないので、発言者のことばどおりではありません。雰囲気だけでもつかんでいただければと思います。

★新潟の印象について★

】日本は、石川と福岡。奥の細道の東北。東京での会議。についで4回目。新潟は、友人である波田野先生がいらっしゃるところで、今回訪問できて嬉しい。万景峰号が停泊する場所も訪れ、北朝鮮に渡った人たちに思いを馳せた。

これまで東京へは何度か行ったが、地方都市は初めて。新潟と言えば『雪国』。今回のことを友達に話したら、「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」という小説の瞬間を撮影して来いといわれたが無理。新幹線の駅ごとに雪が降っていたり、晴れていたりお天気が変化するのがおもしろい。

★地方に住んで執筆活動をすることについて★

 【波田野】今回のシンポジウムの目的のひとつは、地方からの情      報発信。先生方はおふたりとも、ソウルではなく地方都市に在      住し執筆活動をしていらっしゃる。

35年前、大学教授である夫の赴任で春川に移り住んだ。若い作家にとっての刺激や様々なチャンスがない環境で暮らすことに、周りの人たちが随分心配をしてくれた。春川は水辺のある美しい町だが、水は、決して美しいだけのものではなく、その下に不安や陰謀などを隠し持っている。そこに住んでいる人たちの様々な悩みや逃れたい気持ちも大切にしたい。(波田野:雪も美しいが、雪国で暮らす人の苦労は並大抵でないのと同じ。)

地方に住んでいると、ソウルでは簡単に手に入るものがなかなか手に入らない。制約例えば、入荷するレコード(CD?)の種類が少ないなど、文化的なものに触れる機会が制約される。その分、手に入れた数少ないCDを大切に何度も繰り返し聞いた。『楽器たちの図書館』に書いた音に対する思いは、こうした環境から生まれたともいえる。

★自分の作品が翻訳されることについて★

韓国では、1980年代から海外に翻訳される機会が増えた。翻訳の話があると、まず自分の作品に関心を持ってもらえたことに感謝する。ただ、外国語に翻訳する際に、本当に自分が意図したことが十分に伝わるだろうかという不安を持つ。翻訳者の力量不足の場合は、その翻訳を信頼できないのではないかと思ったことがよくあった。海外に翻訳された作品が、自分の全く意図しない文体で紹介されていたことを後に知り、大変遺憾だった経験がある。作者は翻訳の良し悪しを確認できない。作者と作品を十分理解した上で翻訳してほしい。その一方で、翻訳の『創作的誤訳』により、作品に新たな魅力が加わることもある。

作者の意図しないことが加わるのが翻訳の魅力。今回の『楽器たちの図書館』の翻訳に当たり、翻訳された二人が最終確認に韓国まで来てくださった。コーヒーに砂糖を入れる場面で、角砂糖か粉砂糖かという質問を受けたが、考えていなかった。こうして一文一文悩みながら丁寧に訳してくれていることを有難く思い、信頼できると思った。翻訳は、作家が創作するのと同じ位労力のいる仕事だ。

 ★翻訳者からのコメント★

【波田野】小説を翻訳しようと思ったら、その作家の書いたものはすべて読んで、作家の考え方を隅々まで理解する位のことが必要。背景となる文化や習慣などの理解も必要になる。例えば食事をする時に、箸を横に置くか、縦に置くかで動作の描写が変わってきたりする。

【吉原】小説の翻訳は、エッセイなどの翻訳と違い、言葉だけでなく作者の提供する「世界」を伝えなければならない。それが難しいと思った。何度も何度も読み返して悩みながら翻訳するのだが、先生方のお話を聞いて、改めて翻訳者の責任の重さを感じた。

 質問タイムでは、こんな質問が。

Q:作品を書く際(海外の)読者を意識するか。
 

小説を書くことは、読者に近づいていくことではなく、自分の世界をそこに作り出して読者を招待することだ。ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟が好きだが、読んでいて面白くない。しかし、そこに提供されているひとつの世界がある。一方、作家であるキム・ジュンヒョクAが、読者であるキム・ジュンヒョクBに作品を見せて意見を聞き、作品を直すことはある。

 作家のお二人がこんなにも誠意を持ってお話くださり、しかも、ご自分たちもこのシンポジウムを楽しんでくださっているご様子に、会場がとてもいい雰囲気に包まれていました。目の前に、韓国の代表的な作家をお迎えし、曲がりなりにも韓国語で聞いてそれを楽しむことができるなんて、これまで韓国語を勉強してきて良かったな、とも思いました。また、翻訳についての意見が随分いろいろと交わされ、改めて翻訳の難しさと重要さを感じました。

 今回は、『地方都市(新潟)からの情報発信』が目的の一つだったそうですが、十分、その効果があったように思いました。今後とも、こうした企画が日本で数多く開催されるようになるといいですね。

 控室に訪ねて、サインをいただきました。

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ぽにょっ会でご一緒していただいているはっちさんとそのお友達のサトコさんの素敵なレポートも是非ご覧くださいね。また、池袋で開催された『K-POPの次はK-文学でしょう!』のレポートはippoyoさんふにゃさんのブログに掲載されています。

2011年12月12日 (月)

『韓国現代作家との対話in NIIGATA』レポート①~午前の部

10日(土)に新潟県立大学で開催された『韓国現代作家との対話in NIIGATA』に行って来ました。期待していた以上の充実した時間で、とても幸せな1日でしたheart04

まず、오정희さんと김중혁さん、この組み合わせが参加者にはラッキーで、よけい興味をそそるシンポジウムになったのではsign02と思います。
오정희(여)さんは1968年にデビューし、今では文学賞の審査員を務めていらっしゃる韓国文壇の大御所とも言える方で、深みのあるお話を。片や김중혁(남)さんは、映像もデザインもこなす、韓国文学の新時代を担う新進気鋭?の作家でユーモアのある楽しいお話をしてくださいました。

作家の紹介の後、오정희さんは『중국인 거리』、김중혁さんは『악기들의 도서관』と『엇박자 D』の朗読を。오정희さんの朗読は、韓国語を見ながら聴いていたのですが、対話の時とは随分違った話し方をされ、流れるような美しい旋律を聴いている感じでした。こんな風にして朗読を聴くというのは、自分で本を黙読した時とは、また全く違う新しい感動ですね。それからキム・ジュンヒョクさんは、朗読用に動画(映像と音楽)も作ってきてくださり、小説はあらかじめ何度か読んでいたので、映像を見ながら聴いたのですが、朗読が始まったとたんに、私ぐっときてしまいました。声がとっても素敵です。

会場の階段教室には、参加者の方が、学生さんから70代位の方まで各世代まんべんなく、そうですね、60~70人位集まっていらっしゃったでしょうか。後でお聞きすると、遠く大阪、愛媛、山形、群馬、千葉、東京などからも参加していらしたとのことでした。やはりNHKラジオ講座で勉強されたファンの方々が多かったようです。

会場からの質問タイムでは、
・小説を書くとき、朗読されることを意識して書くか。 という質問に、
 오:韓国では朗読の習慣はなかったから、意識してはいない。外国の方式を取り入れて、最近始まったこと。伝統的には、詩の朗読が盛ん。私の小説でも韻を踏むということはある。
 김:私の文章は美しくない。文章よりは内容を伝えたいから。(김중혁さん流の照れ?)
と、ちょっと意外なお答でしたconfident

他にも、
 
・影響を受けた作家はいるか。
・小説を書く時、あらかじめ全体の構成を考えて組み立てるのか、それとも一つの印象に残るできごと、ことばなどが先にあって、それを中心に発展させていくのか。 

などなど、会場からの質問もたくさん出て、そのひとつひとつにとても丁寧に答えてくださいました。(続く)

2011年12月 5日 (月)

오정희さんと김중혁さんの作品を

週末の『韓国現代作家との対話』に参加するからには、ちょっとは作品を読まなければと何冊か手に入れていた本たち。

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だけど、週末までに読み終えるのは、ちょっと無理かも。いろいろお話を聞いたあとで、サインもいただいて、モチベーションが高まったところで読んでもいいかhappy01

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